かるみに

趣味とともに生きる

【雑記】幸福荘なるアパートを見つけた。

#5749 old apartments

「幸福荘」という名前のアパートを見つけた。

 

 

多分住むと幸せになるのだろう。執事やメイドがいて家事炊事は彼らに任せる。家にはあらゆる娯楽が揃っている。ゲームやシアタールーム、ボウリング場まである。お風呂はもちろん温泉で専門のマッサージ師もいる…。お金の心配はなく、望めば誰にでも会えてどんなものでも手に入れられる施設「幸福荘」

しかし残念なことにこのアパートはそのような代物では無かった。骨組みとなっている金属部分はサビが見え、壁はコンクリートの様に無骨なもので華美な装飾はない。3,40年前の雰囲気を醸し出しているどこか懐かしい雰囲気の佇まいだ。

その姿を見た時僕の中のツッコミの化身が思わず言ったね。「どこが幸福やねん。」って。年季モノ、言い換えればボロボロ。そんなアパートに住む人は幸福なもんかと、傲慢にも。そのツッコミの化身をぶちのめした後、ふと気づく。「トキワ荘に似ているな。」かつて手塚治虫赤塚不二夫と言ったらマンガ界の巨匠達が住んでいたアパート。彼らはそのアパートで夢を叶え幸福な気持ちになったと思う。つまり、幸福荘は言っている。住まいなんて何でも良い。自分たちの夢の実現のためにお金を使いなさい、と。ただ周りの価値観に沿うのではなく、夢を追いかける姿勢こそ幸福だと伝えたいのかもしれない。だから多分ここの大家さんと入居希望者とのやりとりはこんな感じだろう。

 

「夢を叶えるために上京してきました。格安で募集していたココに入居したいんですが」

「…あなたの夢はなんですか?」

「え?」

「夢です。仰ったじゃないですか、夢の叶えるために上京したって。ぜひ知りたいのです。」

「そうですね、それは〜略」

「ありがとうございます。こんかオンボロの建物で恐縮ですが、ぜひ入居してください。」

「あ、ありがとうございます!」

「あと最後に、提示していた家賃、あれは入りません。この家賃分のお金はあなたの夢を叶えるための資金にしてください」

「お、大家さん…!」

こんな感じだろうなぁ。

…という妄想に耽りつつ、ものが無い生活なんて無理だよなあとジレンマを感じる僕。